CS『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』



『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(118分 2008年)
「チャンネルNECO」にて鑑賞。
今さらだが、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』は大傑作である。これに異を唱える人はまずいないだろう。
時は戦国、群雄割拠の時代‥隣国である山名の国に攻め込まれた秋月の国の侍大将・真壁六郎太(三船敏郎)は唯一生き残った領主の血筋である雪姫(上原美佐)を擁し、軍資金の黄金と共に山中の隠し砦に潜んでいた。
そこを通りかかった戦帰りの二人の百姓(千秋実、藤原釜足)に黄金の一部を発見された六郎太は、ふたりに黄金を運ばせ、友国の早川まで敵中突破を試みる。
次々と降りかかる危機を知力と機転でかいくぐっていくスリル、アクションのダイナミズム、名セリフ「裏切り御免!」に代表されるユーモア、上原美佐の気品あふれるクールな美しさ‥
ジョージ・ルーカス監督が『スター・ウォーズ』でこの作品の引用をしたことは有名な話だが、よりによってそんな作品をリメイクしよう‥という勇気は賞賛に値する。いや、皮肉じゃなくて‥
旧作・名作のリメイクは国内外を問わず盛んに行われているが、その手法はオリジナル版を忠実になぞるのか、それとも大胆な変更を加えるのか、この2つの選択しかない。本作と同時期に公開された故・森田芳光監督の『椿三十郎』は前者の手法を採用し、オリジナル版と同じ脚本を使用したが、残念ながら失敗作に終わった。
その理由はいろいろと考えられるが、まったく同じ素材を使用したとなれば、オリジナルの方に軍配が上がるのはやむを得ないことだ。後出しで勝てるのはジャンケンくらいしかない。
その点を考慮したのか、脚本を中島かずき、監督を樋口真嗣が担当した本作『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』は後者の手法を採用し、オリジナル版とはまた違うテイストの作品とした。
前半こそオリジナル版の展開をなぞっているものの、後半はまったく違う作品と言っていい。
一番大きな改変は、オリジナル版の主人公・真壁六郎太(阿部寛)を脇に回し、ふたりの百姓のひとり武蔵(松本潤‥ちなみにもうひとりは宮川大輔)を主人公に据えたことだろう。そして、この武蔵と雪姫(長澤まさみ)が身分違いの恋におちるという、予想通りの展開となる。
ハリウッドのヒット・メーカーがリスペクトしたほどの作品をアイドルとお笑い芸人に託すあたりの度胸は本当に賞賛に値する‥(やや皮肉が混じってきた ^_^;)
ただ、私はアイドル映画だからと言って別に色眼鏡で見るつもりはない。アイドルが出演していようが、お笑い芸人が出演していようが、きちんと映画として成立していればそれでいい。
しかし、本作においてはその肝心のロマンスの描き方が不満。一国の姫君と一介の根無し草のような男との身分違いの恋‥そのはかなさ・切なさが表現できていない。
それはラスト・シーンに顕著。「裏切り御免!」なんて言っていいのは本当は雪姫の方じゃないのかなぁ‥
とはいえ、あちこちで叩かれているほどツラい作品とは別に思わない。
樋口監督はこの作品で得たノウハウを次回作『のぼうの城』(共同監督:犬童一心)でぜひ生かしてほしい。
椎名桔平が演じる山名の国の侍大将が身に付けている甲冑がダース・ベーダーに酷似しているのは『スター・ウォーズ』への趣旨返しかな(笑)
余談だが、山名の民が歌い踊る火祭りの場面で、『海底軍艦』に登場するムウ帝国人が守護竜マンダを讃える歌の「スセムソラ‥マンダ!」というフレーズをちゃっかりといただいているのは、樋口監督らしいお遊びと言うところか。
出演:松本潤、長澤まさみ、阿部寛、椎名桔平、宮川大輔、高島政宏、上川隆也、國村隼、甲本雅裕、KREVA、生瀬勝久、古田新太、黒瀬真奈美、ピエール瀧 他
脚本:中島かずき
監督:樋口真嗣





























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